周りのテントが騒がしい。
目が覚めるとまだ外は暗い。
山の朝は早い。
「3時40分!しゅっぱーっつ!!」
隣のテントから元気の良いお姉様の声がする。
ちょっと早過ぎないか?
僕らは二度寝する。
「晴れてますよ。」
連れの朝食を作る音で目が覚める。
もぞもぞとテントから顔を出すとモルゲンロートに染まった剱岳が目の前にあった。
軽く朝食を食べると僕らは目の前にそびえ立つ岩塊に向かった。
いくつかの峰を
登っちゃ降りを繰り返し
ようやく核心部のカニのタテバイ。
15m程度のほぼ垂直な壁を鎖と壁に打ち込んだ鉄棒を頼りに攀じ登っていく。
私の経っている足場から下もずっとキレ落ちている崖なので、タテバイで落ちれば数十~100m以上真っ逆さま。
こんなルートが昔から一般ルートになっているのが不思議。
核心部を超えると剱岳頂上。
祠の前は大渋滞。
ただでさえ狭い頂上なのにガスコンロで湯を沸かしてご飯を作っている人もいたり。
私達は水筒の水を飲み記念写真を撮ってさっさと下山する。
眼前に劔沢、雄山、その奥に槍ヶ岳の穂先がちらっと見える。
随分と降りてきた。
登りはしんどいが下りはあっという間。
槍の穂先もとっくに隠れて見えなくなった。
終日好天に恵まれた最高の登山日和。
名残惜しいけど明日は下山の日。
明日の天気は?
雷鳥沢の紅葉は?
雷鳥は見れるかな?
いろんな期待を込めて明日へ続きます。